高強度トレーニングの効果を最大限引き出す方法について(心拍変動コンディション編)
こんにちはEMUのげんです。
今回はコンディショニングの話です。結論を先に書くと、コンディショニングを手助けするアプリ・製品の紹介になりますが、トレーニング理論についても少し触れています。
私の今まで書いた記事をまとめると
・睡眠を良くとり練習によるダメージを回復して次につなげる。睡眠のコツ。
・練習前にパフォーマンスを上げるローションにより、
インターバル能力の向上と筋肉痛を軽減することでより追い込める・楽しめる、
回復も早くなりEMU火曜と木曜両方でパフォーマンスを出せる。
(記事が前後する可能性あり)
でしたが今回で回復を共通項にした「効果を最大限引き出すシリーズ」は一区切り。
前提として話のタネは私が個人的に好きなEizoミートアップの良さの一つである「他の人と競うことで一人の時より追い込める」という効果。「ミートアップ=超高強度トレーニング」という図式にあります。
もちろんゆるく楽しんだり、他の楽しみ方もありますが今回は高強度に絞っての話。
高強度トレーニングを行う際に効果を最大限に得るために重要なポイントがあります。
それは体が本当の高強度を出せるまで十分回復していること
疲れている状態で高強度トレを行っても高強度にならず、あまり効果がないどころか逆効果で、オーバートレーニングの状態に近づいてしまいます。
この辺りの理論はポラライズドトレーニング(Polarized Training)に準拠しているので簡単にその説明から。知ってる方は飛ばしてください。
運動生理学の権威であるDr Seiler(Norway)によると人間の能力は生理的に変化がある区切りでいうと
1.6秒パワー(無酸素)→LT3
2.6分パワー(VO2MAX)→これより上がLT3
3.60分パワー(FTP・Threshold)→LT1の上限からLT3の下限までがLT2
であり、60分パワーの77%~80%以下をLT1としています。(簡易的算出法)
ここでの注意点は60分パワーは実際に60分テストで出した数値であること。
20分テストと60分テストでは20~30Wずれることもあり、信用性皆無とのことです。
(これは実用性とか云々抜きでFTPの定義そのものが1時間のパワーであるので)
ポラライズドトレーニングは1週間単位でみるときに凡そ8・9割をLT1、1・2割をLT3でトレーニングする方法です。LT2は極力省きます。または2週間に1回とか、たまに入れると有効とのこと。この割合は延べ時間ではなく練習単位。
ポラライズドトレーニングの比率で軽強度が8割の理由は
・有酸素能力のベースとVO2MAXのトップエンドが大事という考え方。
・長時間低強度トレーニングによりすべてのタイプの筋肉を動員できる。
・低強度で疲労をコントロールし、高強度トレーニングの効果を最大化するため。
お気づきと思いますがEizo’s Meet UpはLT3です。
「回復していないとミートアップの効果を最大限引き出せない」の背景はこの考え方からです。
ここから本題
ではどうやって高強度トレーニングを行えるレベルまで回復しているか判断すればよいのか・・・
それは心拍変動解析(HRV、Heart Rate Variability)です。
以下HRV
これは心拍のゆらぎというか周期というかHRが60回/minでも、それはあくまで平均値で実際は50~70の間を変化していたりする現象で主に自律神経によって起こる現象とのことですが、専門性が高すぎるのでここでは説明は省きます。
このHRVとRHR(安静時心拍数)のデータを取ることにより、その人のリカバリーの状態が分かります。
(病気もわかったりするらしい)
これは練習の質や量だけでなく、仕事のストレスや家庭環境による疲れ、睡眠の質、病気や風邪をひいているか、水分の摂取量、合わない食べ物を食べたなど、その日の一日の行動が関係しているわけです。
言い換えるとほぼ全ての要素を反映します。最大の強みの一つです。
生活の要素を変化させて自分のHRVの変化を見ることで自分の生活を最適化できるポテンシャルがあります。
多くのパフォーマンスを追求するサイクリスト・アスリートでも
休息日は練習を休むだけでは休息日にならない
ということは忘れがち。積極的にリカバリーをする必要があります。
そして、この心拍変動解析を手軽に行えるツール・アプリがWHOOPという心拍計とアプリがセットになっているサービスで月額USドル30から使用できます。アジアではまだ購入できませんが問い合わせてみたところアジアにも展開予定とのことです。私はアメリカで購入しました。将来的にはTrainingPeaksなどのアプリとも連携するそうです。
HRVはその人の個人のデータ量が重要でWHOOPも色々表示されるまで最低5日・120時間ほど必要とします。継続してデータを取っていないと意味がないとも言えます。HRVの存在自体はかなり前から分かっていたことですが、手軽に計測し続けるテクノロジーが今までなかったことから一般人レベルで普及していなかったと思われます。
補足
皆さんにおなじみの方法であればアップルウォッチ、もしくはWAHOOのTICKR・ポーラーH7などの胸バンドでHRVを測定できるアプリ等は他にもあります。ただ胸バンドは常につけておくには厳しいうえ、電池の問題もあり現実的ではなさそうです。アップルウォッチでは計測は標準装備ですがそれを活かした解析アプリが少ないみたいです。また充電も一日しかもちませんし。バンドで使えるアプリの例 https://elitehrv.com/
Appleのアプリでカメラで測定できるストレススキャンというものもあります。しかし、算出方法は100万人のデータベースからなのであまり参考にならないと個人的には思いました。HRVは極めて個人的なものなので。
WHOOPは著名人でもスポンサーにはならない方針で使用している人は皆購入して使っています。
個人的には大好きなMTB世界チャンピョンのKate Courtneyが愛用しているのが説得力があると感じました。
(彼女がWHOOPについて話しているポッドキャスト https://www.whoop.com/the-locker/podcast-19-kate-courtney-mountain-bike-world-champion/ )
WHOOP開封の儀から紹介します。
予備ストラップと商品
中身はバンド・WHOOP STRAP3.0・充電器とコード・ポーチ
サービスはサブスクリプションで本体は無料でついてきます。
つけたところ(もちろん完全防水です)
スライドして装着する充電器をつけたところ
(5日に一回でOK、こいつは防水ではない模様)
続いてアプリのインターフェース・情報です。ウェブでもログインして見れます。
このアプリの重要な点は4つ。
- アクティビティを自動検知または自分で記録してその日の負荷・ストレス値として記録し、翌日に自分の求める活動レベルに応じて睡眠の長さを提示
- 睡眠を自動検知して質や長さを評価して朝起床時にリカバリーの度合いを表示し、どの程度のパフォーマンスが適切にできるか教えてくれる。睡眠の分析は他の睡眠ログアプリより優れており、Awake・Light・REM・Deep/SWSの4段階で記録、睡眠を阻害する外的要因があればそれに反応した時刻と回数も記録されます
- 今までの記録が閲覧できる。それを基にしてサポートに相談もできる。
- カメラを起動して動画を記録し、心拍データを連動させ、どの時点でどれくらいの負荷になっているかなど検証できる
その日の負荷・ストレス表示画面(0から21で表示)
睡眠時間の提示画面。翌日の活動レベルで変化する。
リカバリー度合いの表示画面。今日は何とかEMUに参加できそう。
色は33%ごとにグリーン/良、イエロー/可、レッド/不可のような形で分けているが
重要ではなく、あくまで%が大事とのこと
コンディションは個人のデータ分析から導き出されるので特に過去6週間くらいのHRVとRHR(安静時心拍数)のデータ量が大事らしい。私もまだ始めたばかりで使いこなせていません。
アプリ画面はまだありますが、長くなりすぎるのでこの辺で。
まとめ
リカバリースコアによって体調によって練習を変えたり、またどれだけ追い込めたかを確認できたり、TSBシュミレーターなど他のコンディション調整方法と併用して精度をあげたり、自分にあう食事法やリカバリーの方法を探ることができます。
自転車は練習からの負荷のみTSSという参考値がありますが、他のスポーツにはそれすらありません。全日本チャンピョンの入部選手も筋トレなどは感覚でTSSをいれたりしている記事を最近読みました。そこで言われていたのは自分を知ることが一番大切ということ。
HRVは自分を知る手助けをしてくれる、そもそも自分の体が発している情報です。
自分の体の声をWHOOP等のデバイスで聞くことで、他の競技もされる方やトライアスリートの方などは疲労を数値化できることでかなりの恩恵を受けられるはずです。
そして高強度練習(ミートアップ)がある火曜と木曜にターゲットを合わせてリカバリーして、タイトル通りゲインを最大化できるはずです!!
アスリートでなくても利用方法は無限にありそうなこのアプリ、チームメイトの方で欲しくなった方がいましたら相談にのります!
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